Lens Impression
Futuraカメラについては、Frilon 70mmの項を参照してください。
50mmレンズには純正のライカマウントもありますが、この個体はFUTURA用のマウントでしたので、ジャンクのRussianレンズの基部を利用して合体させ、ライカ距離計連動で利用できるように加工しました。接合部分の径がほぼぴたりと一致するので、違和感のない外観となっています。非常にコンパクトで軽い仕上がりもなかなかですね。
描写はとても気に入りました。
ひとつの画面にとてもシャープな現代的レンズの側面と、収差を強めに出した描写の両方を見ることができます。そして、その収差の出方も、まったく嫌味を感じない気持ちの良いもので、作例を見ていただくと、あっさりした爽やかな描写を感じていただけると思います。
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Frilon(フリロン)レンズには50mmと70mmの2種類がある。どちらも生産台数が少ない希少品であるが、とくに70mmf1.5は数が少なく市場に出てくる機会も少ない希少度の高いレンズである。
Frilon 50mmf1.5 のレンズ構成は4群6枚である。4群6枚と聞くと変形ダブルガウス型の基本形を思い浮かべてしまうが、しかしこのレンズはダブルガウス型ではない。構成図を見ると、1+3+3のf1.5ゾナー構成の第2群の3枚貼り合わせの中間レンズをなくした、変形エアー・ゾナー型ともいうべき構成である。見方を変えると、エルノスター基本形の最後群を3枚のゾナー後群に置き換えた進化型と言い換えてもよいかもしれない。
しかし、ベルテレがエルノスターをゾナーに進化させたとき、その1つの大きな要素は前群の空間を屈折率の低いガラスで埋めて反射面を減らすことにあった。Frilonのこの構成は、その反射面を再び増加させたものとなる。もちろんゾナー設計時の1932年と、Frilonの1950年ではコーティング技術も進化しているが、フツーラ
社のコーティングは非常に耐久性が弱いことでも有名である。果たしてこのレンズ構成の目論見は成功したのかどうか?実写で確認したい。
なお、このレンズ構成は、謎のレンズ「ダルマ・クセノン 5cmf1.5」と共通点が多い。
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